かわいい中国語

 中国発の百度(バイドゥ)という会社が日本でも本格的に検索サービスを始めた。もともとダブルバイト(全角文字)文化なので日本語のテキスト検索もさくさくと速いが、画像検索や、日本では著作権問題があるので当面行わないmp3ファイル検索を得意としている。その記者発表会は、社外取締役の出井伸之前ソニー会長が参加していたこともあってか、大盛況だった。サイトにも社員の名刺にも入っている百度のロゴは、パンダの足跡をフィーチャーしていて、なかなかかわいらしい。

 発表資料に競合とのシェア比較があって、そこで見つけたのが「雅虎」で、これはYahoo!のことだった。ちなみにGoogleは「谷歌」で両方とも音から漢字にしている。音ではなく意味から漢字を当てた秀逸な例としてOracleの「甲骨文」がある。

 ゴールドマン・サックスが経済成長著しいブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を指したBRICsはあっというまに世界に広がったが、これを中国では「金磚四国」と言うそうだ。「磚」はレンガをさす漢字で、音からbrick(レンガ)とをかけたもの。なんとインテリジェントな訳語だろう、とため息が出る。日本語にはカタカナという外来語専用の便利な文字があるので、ある意味私たち日英の通訳者は甘やかされているところがあるのだが、中国はきっちり当てはまる自国語を作ろうとするところが偉い。

 それで思い出すのが2000年問題だ。英語ではY2Kと呼ばれていたがもう一つの呼称があってそれが ”millennium bug”。中国語では「千年虫」と訳されていた。これも、ちょっとかわいい・・・?

(「毎日フォーラム 日本の選択」2008年3月号に掲載)

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